![]() ![]() | ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会(VDP)について
1、プレディカーツワイン生産者協会(VDP)とは? ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会(VDP)は高品質ワインの生産者で構成される ドイツ国内の協会で、世界で最も古くから存続している団体です。 「ドイツ高品質ワイン生産者連盟」とも言えます。 その前身は1910年に4つの地域別生産者協会が結成した ドイツ・ナトゥアワイン・オークション協会(VDNV)です。 100年余の時を経て、今日の会員醸造所は200社に増え ドイツの全てのワイン生産地域を網羅しています。 VDPの会員は、ブドウの栽培からボトルワインの生産に至る全工程において 厳格な独自の品質基準に基づいてワイン造りを行っています。 - 土壌の質、地勢、ミクロクリマが非常に優れたブドウ畑での栽培。 - ワインの個性を引き出す自然との調和を重んじた製造方法。 - 唯一無二の文化的景観の保存。 - 伝統的なブドウ品種であるリースリング、シルバーナー、ブルグンダー系品種を主体とする畑造り。 - 高品質のワインを生産するための収穫量制限。 - ぶどうの持つ力をそのままボトルに込める、丹念で情熱のこもったワイン造り。 これらをモットーとする団体です。 簡単に言うとVDPは ”高品質なワインを造る生産者の集まり” です。 また「ブドウ畑の地位」を確立して「辛口ワインの名声」を取り戻すという意義もあります。 VDPの格付けはVDP会員醸造所だけのものという点で、ボルドーのシャトーの格付けを想起させますが 実際に格付けされているのは醸造所ではなく所有畑という点では、ブルゴーニュの格付けとも同類です。 ブルゴーニュの格付けでは、ピラミッド構造のように 基礎にあたるレジオナル(地域名)から、ヴィラージュ(村名)、プルミエ・クリュ(1級畑) グラン・クリュ(特級畑)と徐々に上級となるように格付けされていますが VDPによる格付けもこれとほぼ同じ4つのランクを設けた格付けに分類されています。 これまでは経験的に語られてきた畑の格が この格付けにより、より理解しやすいピラミッド構造で把握することが可能となりました。 とかくわかりづらいと言われるドイツの畑が少しでもわかりやすくなったとも言えるでしょう。 VDPの会員は2017年現在、全醸造所数の2%に満たないのですが 国際的に受け入れられやすいこの格付けモデルは、ドイツのワイン業界に大きな影響を与えています。 2、VDPの格付け
●VDP. グーツワイン (地域名ワイン) ”高品質のベーシックワイン!” VDP・グーツワインはVDPが定める品質ランクの基底をなすベーシックなワイン。 言わば醸造家たちの「名刺」に相当するワインです。 ブドウはそれぞれの醸造所の所有畑に由来し、VDPの厳格な基準をクリアしなければいけません。 畑にはその地域に伝統的な品種が少なくとも80%以上植えられていること。 エチケット(ラベル)には地域とブドウ品種名が表記可能。 甘口ワインについては果汁糖度による等級も併記可。 キャップシールにVDPロゴと「グーツワイン」を記載。 ●VDP. オーツワイン (村名ワイン) ”優れた土壌を伝える!” VDP・オーツワインは1つの自治体内の複数の優れた畑のブドウから造られる それぞれのテロワール(栽培環境)を伝えるワインです。 地域特有のブドウ品種を使用する、収穫量を厳格にするなどの制限が前提となっています。 VDP・オーツワインはVDP・グーツワインと優れたブドウ畑のワインの間に位置づけられるワインです。 畑にはその地域に伝統的な品種が少なくとも80%以上植えられていること。 エチケット(ラベル)には村名とブドウ品種名が表記可能。 甘口ワインについては果汁糖度による等級も併記可。 キャップシール(またはタスキ)にVDPロゴと「オーツワイン」の記載が必須。 収穫量:~75hl/ha ●VDP. エアステ・ラーゲ (1級畑ワイン) ”第一級のワイン!” VDP・エアステ・ラーゲは独自の性質を持ち、理想的な栽培条件を満たす 一級クラスの畑のブドウから造られたワインです。 VDP・エアステ・ラーゲのブドウ畑では、その特性に合ったブドウ品種が栽培され 高品質を維持するために収穫量は極度に制限されています。 VDP・エアステ・ラーゲの畑からは、歴史的にも例外的に優れたワインが産み出されています。 その地域に伝統的な品種を使用した高品質なワインであること。 エチケット(ラベル)には畑名とブドウ品種名が表記可能。 甘口ワインについては果汁糖度による等級も併記可。 キャップシール(またはタスキ)にVDPロゴと「エアステ・ラーゲ」の記載が必須。 収穫量:~60hl/ha 果汁糖度:シュペートレーゼ以上 収穫方法:手摘み ●VDP. グローセ・ラーゲ (特級畑ワイン) ”ドイツワインの最高峰!” VDP・グローセ・ラーゲはドイツの最も優れたブドウ畑から造られたワインで その畑の区画は厳密に定められています。 この特級クラスの畑からは長期熟成する秀逸なワインが生まれます。 各区画にふさわしい最良のブドウ品種だけが偉大なワインとなることを約束します。 生産条件は最も厳格で、VDPの格付けピラミッドの最高位に位置づけられます。 品質管理を徹底するため栽培期間を通じてモニタリングが行われ 仕上がったワインに対しても官能試験を課しています。 その地域に伝統的な品種を使用した高品質なワインであること。 エチケット(ラベル)には畑名とブドウ品種名が表記可能。 甘口ワインについては果汁糖度による等級も併記可。 キャップシール(またはタスキ)にVDPロゴと「グローセ・ラーゲ」の記載が必須。 辛口ワインでは、GROSSES GEWÄCHS(グローセス・ゲヴェックス:特級畑を意味)を示すロゴがボトルに刻印。 収穫量:~50hl/ha 果汁糖度:シュペートレーゼ以上 収穫方法:手摘み
※辛口ワインには「クヴァリテーツワイン・トロッケン」と表示されますが 甘口ワインには、伝統的な肩書き(カビネット、シュペートレーゼ等)が使用されます。 ※2012年からそれまでの格付け制度に変わり、新たな格付け制度が制定されています。 3、VDPの会員について VDPメンバーになるには、まず高品質なワインを造ること。 そしてVDPの会員規約を守ることが求められます。 規約の中でいま最も重要なのは それぞれの地域における伝統品種を栽培することと、低収量を守ることです。 VDPでは闇雲に入会希望者を募ってはいません。 5年~10年のスパンで優れたワインをつくり続けている醸造所に対し まず入会を打診するシステムをとっています。 一度入会すれば、退会させるのは容易ではないからです。 しかし毎年ワインの品質審査をVDP内部で行い、5年ごとに立ち入り審査も行っています。 もしも品質が良くない、あるいは基準を満たしていないと認められた場合 最初の年は助言、注意をおこない、2年目には他の醸造所の指導を受けることが義務づけられています。 (参考) THE VDP - THE CLASSIFICATION VDPと格付け 限られた畑から届けられる秀逸なワイン VDPと格付け 新しい格付け制度とドイツワイン産業の課題 ドイツワインの等級・格付け
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